垂直潜水におけるスキン・セキュリティ

垂直潜水におけるスキン・セキュリティはサーフェイス(水面)・セキュリティとも呼ばれ、主に15m位の水深から水面までの安全確保を行ないます。ブラックアウト(BO)などのトラブルは水面付近で起こる事がほとんどですので、それだけその役割は重要であるといえます。

スキン・セキュリティの仕事は、選手が最大深度から折り返し、水面に戻ってくる過程での安全確保です。選手がボトムから折り返して戻ってくる頃、水深15mくらいを目安にスキンダイバーが迎えに行きます。透明度のいい会場では戻ってくるのが目視で確認できますが、透明度が悪い会場の場合は、戻ってくる時間を予想して迎えに行きます。選手が浮上してきたら、ほぼ並走して一緒に水面まで浮上していきます。この時、選手に触れてしまうと、手助けをしたと見なされて選手は失格となってしまいますが、不測の事態に備え、いざというときはすぐホールドできるくらいの距離を保って下さい。
この時、選手の表情に注目して下さい。選手個人の特性にもよりますが、意識混濁が合ったとしても、足は無意識でフィンキックをしている、ということはあり得ることです。表情、特に目線に注目して、場合によってはすぐにホールドして浮上の手助けをして下さい。また息をボコッと大きく吐く行為も、苦しさの兆候です。(選手によっては水面到達直前で意識的に息を吐く選手もいます)BOの場合はフィンキックが止まるので、比較的わかりやすいと思います。

※浮上時にー5mくらいで息をボコッと吐くことは、2004年現在ではルール上してもいい事になっています。また、その方がパッキング後の肺の過膨張に対して安全上好ましいとされているようです。

LMC(Loss of Mortor Control=意識混濁、通称サンバ)、あるいはBOが起こった場合、スキンダイバーは速やかに選手をホールドし、浮上の手助けをします。選手がウェイトベルトを付けている場合は、場合によってはそれを外したほうが引上げ作業は楽になります。またBOの場合は舌を噛まない様、アゴをホールドすることも必要になってきます。トラブルの場合に備え、選手を迎えに行くスキンダイバーに加え、水面で補助できるサブのスキンダイバーの配置も重要です。

水面まで浮上させたら、マスクをしている場合は気道確保のために外し、意識回復を促がすために声を掛ける、ゆする、などを行なって下さい。軽い意識混濁の場合はこれだけでも回復します。声を掛けたり、ゆすったりしても反応が無い、あるいはケイレンなどの症状が見られるときには、速やかに酸素吸入を行なって下さい。垂直潜水競技の場合、スキン以外のスタッフは船上にいることがほとんどですので、水面から船上への引上げ方法などは事前に打合せが必要です。またそれでも意識が回復しない重大な事態の場合は、医療施設への搬送が必要となってきます。そのため、万一の場合の輸送手段、連絡方法なども事前に十分検討して下さい。

※BOの場合、激しくゆすったり、たたいたりすることは逆効果になる場合があります。BOはそもそも身体の危険に対し、脳が自らシャットダウンを行なうものなので、その状態の時にさらに激しい刺激を与えると、シャットダウンからますます回復しない事になります。この場合は軽くほおをたたく、目の下に息を吹きかける、などが効果的です。

スキン・セキュリティは前述のように水深15m程度まで潜れなければいけない事、万一の場合は引上げ作業などをしなければならない事から、フリーダイバーとしてもそれなりのスキルが無くてはいけません。よって競技会などでは、選手経験者が行なう事が多いです。またCPRなどのレスキューのスキルも身につけておく事も重要でしょう。
(text by h.sugawa)


注意
このテキストは2003年3月現在のAIDA国際ルール及びAIDA JAPAN競技規則に基づいて書かれています。

※印:2004/9/27加筆しました。

 

ご意見・ご感想はこちらまで

topへ戻る