この時点で約100カットが未撮影。翌日はネガ原版の締切。フィルム原版を断念し、ビデオ編集時の差し替えに変更。しかし、仕上げ済のセルが届かない。 日付が変わろうとしている頃カットが届く。重大なダークスター関係の色の間違いが 発見される。間違いの程度を確認した後、指示出しへ。放映2日前
正規の色に修正するのを断念し、黒ブラシ使用による特殊効果に仕上げ変更。 未撮影のカットのセル枚数の多さに戦慄する。もしかしたら撮影しきれないのでは。 不安が増す。
物理的に撮影しきるのが不可能と判明。撮影の手間を減らすために素材を外しにかかる。当初予定された特殊撮影を中止する。透過光などの重ね枚数を減らす。 それでも間に合わないかもしれない状態。撮影シートを単純なものに書き換える。 これだけで撮影スピードは2倍以上になるはず。放映1日前
特殊効果(エアブラシ)がパンク状態になる。ついにブラシを中止。
このあたりで、私マスターの体調に異変が生じる。発熱。まずい・・・(号泣)。 マスターは待機しつつ、現像所から上がってきたラッシュフィルムのチェックに入る。いくつかの厳しいリテークが出るが・・・時間的に全部の修正は不可能と判断。 優先順位をつけてやり直しに入る。一部のものはもう直せない。
これを「泣く」という。
並行してポジフィルムを一本に繋ぎ込み、事前に録音してあった16ミリシネテープと あわせて、絵と音が合っているかどうかチェックする。ここでも台詞が口パクと合わないという「やり直しカット」が出現する。撮影所の負担が増していく。
カットを撮影に入れられる状態に整理する作業(撮出し)は昼夜交代制で24時間フル稼働へ。マスターは熱が下がらない。ふらふら状態。仕事場で待機状態。電話が命綱となる。
複数のスタジオに撮影の救援を依頼する。難しいカットが集中して残っているため なかなか手配がつかない。
絵が全部埋らないままネガ編集に入る。残りのカットはビデオ編集中に逐次差し込むことにする。苦肉の策(大号泣)。
マスターはビデオ編集スタジオに移動し、カットのビデオ差し替え(絵のないところにOKカットを差し込んでいく作業)に入る。この時点で未撮影カットは残り30カット。 編集作業中、絶え間ない腹痛に襲われトイレに駆けこむこと7回。まさにミイラガウリイの様相を呈する。
マスターはビデオ編集を続けるため編集スタジオに向かう。途中新宿駅で貧血で倒れる。おっさんが倒れるのは美しくないのでなかったことにする。
この段階で何か問題があっても、もう直すことは出来ない。一発勝負。アニメの神様に祈るときが来る。
初めて一応全部のカットが色つきで埋ったものを見る。 もろもろのテクニカルエラーが見つかるが、もう直せない。
放映は翌日だが、局納品のタイムリミットはあと30分に迫っている。焦りの極致。 完成した放送仕様マスターテープを便に乗せる。まさにギリギリ。制作のみなさん14話が一応形になりました。お疲れ様〜。
完成を見届けて帰途似つく。途中原宿の駅で再び体調が悪化する。途中下車して 休み休み三鷹にもどる。そのまま仕事場の床に寝込んでしまう。
その翌日、マスターは動けなくなる(;_;)。もろもろの打ち合わせを全部キャンセルしてしまう。我慢していたが・・・ついに医者へ・・・・(;_;)。
朦朧とした状態でオンエアを見る。ああ、昨日まで作業していたフィルムがもう 放映されている・・・・。なんとも・・・感慨深いものであることよ(涙)。
二ケ月前、真っ白なコンテ用紙を前にしてイメージを紙の上に描き込んでいったものが今電波に乗ってる。途中のもろもろの地獄が今は楽しく思えてくるから不思議なものですね・・・・・・・。
今、手元にCD-Rに焼き込まれたサンプル版がありまして、ちょっと起動してみました。
そもそもCD-Rってものの現物を初めて見ました。金色に輝いて奇麗っ。
私ん所のマシンはMacintosh PowerPC7200/90 メモリー240MBっていう 一世代前のマシンなんですが・・・冒頭のオープニング(クイックタイムムービー)も コマ落ちすることなくスムーズに再生できてびっくり。けっこうなマシンパワーを 要求されると思ったのですが。
内容は・・・私がいうのもなんですが・・・かなり濃いです。お薦め
こんなタイプのデーターベースが欲しかったと常々私自身が思っていた内容で、個人的には永久保存版です。紙ベースのファイリングって四散してしまいがちだし、特に 絵コンテなんて、フィルムが完成してしまったら只のごみ扱いが相場ですから、貴重な記録アイテムです。
えー・・・アウトバックの関係者の皆様、原稿遅らせてしまい大変ご迷惑を おかけしました。この場を借りて深くおわびいたします。
その私の解説・・・はからずもクオリティレベルが至らなかった点のいい訳・お詫びのオンパレードになってしまいました(;_;)。うう、無印の頃は今思い出しても赤面ものですが、そうですね、決して恥じてはいません。
万全にセッティングされた状況でレベルに達したものを作るのは容易ですが、 当時の逆風の中で、しかも現場的ノウハウゼロ・・・(幼児ものを得意としていた スタジオでの初めての今風ファンタジー作品)・・・からスタートして、石を一つ一つ 積み上げるような地道な忍耐を重ねて今に至る訳ですから、その経験の原点として スレイヤーズ無印は忘れることは出来ません。
逆にいえば、一番のびのびと作れたということで、ある意味後のNEXTやTRYは未だ 無印を超えられない部分もあったりするのです。
今回の解説にはテレビスレイヤーズの長期戦略・・・っても、私が勝手に思っている だけのものですが・・・が縦軸を貫いています。
当初、スレイヤーズ無印の対象年齢層を意図的に低めに設定した理由。その後のNEXTで段階的な対象年齢の引き上げを狙った理由がこのCD-ROMで明らかになると思います。
先日、某アニメ雑誌の編集の人に教えてもらったのですが、今年のアニメグランプリ歴代作品部門でスレイヤーズNEXT・TRYが過去16年間の全タイトルの中でベスト2に入ったそうです。
私たち拙作がかのエ○ァと人気を二分するような事となるとは当時誰も予想しておらず、業界では一種の事件扱いでした(笑)。
これも全てファンの方々の熱心で継続的なご支援の賜です。深く感謝しております。
てなわけで、スレイヤーズ無印のCD-ROM・・・お薦めです。
是非手にいれてくださいね(^-^)。
・役に立たない電話スタッフのほぼ8割が家に電話を引いているが、その内約一割の電話は料金未払いで 止められている。電話に誰も出んわ状態(笑)。締切逃れの為復旧させない人は多い。
・家賃未払いでアパートを追い出され、会社に住み込んだ経験のある人は全体の約30%ぐらいは居るようだ。
特にアニメーターが追い出されたときは路上に破棄された (大家が持ち主行方不明扱いとして処分した)持ち物ですぐに分かる(笑)。
・平均的な月収は約7万円である
電気、水道を止められ蝋燭の光で仕事を続けた人が最近出現した。
・一点豪華主義の趣味
たいへんな節約の末バイクやパソコンを手にいれる人も多いが大抵質に流したり、 泣く泣く売り払う人は全体の半数に達するという。
・本末転倒
少しでも生活費の足しにしようとアルバイトを始める人も多いが、そのうちの約10%はバイトが本業になってしまう。バイトの方が収入が多いので誰も止められない。
・むなしい家賃
ちゃんと帰るアパートがあるにもかかわらず、一ヵ月に一度も帰れない人は 全体の5%に達する。
・究極の家
公園などにある遊戯用の土管の中に住んでいたというつわものを一人知っている。公園はトイレ・水道完備でなかなか快適だそうだ。
これを読んだあなた・・・貴方もこんな生活してみませんか(笑)。
まず、シリーズ構成に始まります。全体のイメージを語ります。で、ライターの方にお願いしたり、 原作の先生の意見を聞いたりして調整します。細かなところで意見が食い違ったりします。 この時私が安全弁になります。泣いて謝ります(笑)
プロットが上がってきます。私の意思伝達の下手さが災いして、何度も書き直しをお願いすることがあります。この時も泣いて謝ります(マジ)。
シナリオが上がってきます。本読みという会議で数人がチェックします。議長は私です。
私の議事進行の下手さがたたって、議論が紛糾します。ここでも私は泣いて謝ります。
シナリオがOKになったら絵コンテを発注します。自分で描く分には良いのですが、発注する場合は 私の伝達の下手さがまたまた災いして、ご迷惑をかけっぱなしです。 今回はオリジナルということもあり、ビジュアルイメージを口頭で伝えてわかっていただくしか ありません。これが至難の業なのです。
結果、いたずらに混乱させ、また泣いて謝ります。
次に作画の打ち合わせに入ります。私は事前に各話の担当演出さんと演出打ち合わせに入ります。
ここでも色々な問題が生じ、私の無能がさらされます。同時に画面の色彩設計の 打ち合わせも行います。ここでもまたまた私の色彩感覚の欠如が原因でなかなか 決まりません。よって紛糾します。泣いて謝るのは言うまでもありません。
で、イロイロあったりします。外部からの苦情が私に届きます。泣いて謝ります。 撮影も、仕上げもスケジュールの無い中での無理難題に怒っています。泣いて 謝ります。でも謝ってすまないこともあります。そういう時は・・・多分怒ります 。この矛盾が物語っています。不条理さを。
で、いつしか「すみません」を上手に言えるようになってきます。心から謝れる 誠意がついてきます。
演出とか監督とか脚本とかやってみたいと思っている方がいましたら・・・ 「すみません」を上手に言えるよう心がけたほうが良いですよ(^-^)。
あと・・・きっと白い壁がお友達になります。家に帰って、白い壁に向かって 一人でぶつぶついっている自分に気がついて愕然としますが、驚かないで 下さいね(笑)。
現在、スレイヤーズTRYの立ち上げで地獄に落ちております。私が無能なばっかりに 各方面にご迷惑をおかけしてお詫びの言葉もありません。
シリーズ構成の高山さん・・・頑固にワガママ言ってすみません。美術設定の中原さん・・・ とんでもなく大変な設定要求してすみません。キャラデザインの宮田さん・・・膨大な数の設定 発注して申し訳ありません。
音響監督の藤野さん・・・すばらしい音楽メニュー出していただいて感謝です。 ライターのみなさん・・・せっかくのプロット、没にしてしまってすみません・・・・。 作曲の手塚さん&山崎さん・・・今回もすばらしい音楽期待しています。 原画の皆さん・・・・絵コンテが遅れてすみません。
ああ、キャストに我がまま言ってすみません(号泣)。戸部さん、ドラゴンスレイヤーのLDどうも ありがとうございます。
神坂先生すみません・・・うううう、私はだめかもしれません(;_;)。 でも、すっごく優秀なプロ集団が私を支えてくれています。きっとなんとかなります。
ああ、私を許してください。謝罪百万遍。感謝無限(;_;)。 神よ、どうかオープニングを間に合わせ給え。
NEXTのいろいろを書き綴っている間にスレイヤーズ3のオンエアが発表されてしまい なんとも忙しくなってきました。オンエアが始まった暁には、多分ここが本邦初の視聴者と スタッフの直接交流の場となるわけで、スタッフ一同緊張しています。マジです。
今日、私のところに富士見書房刊のフィルムブック7の見本が送られてきました。間もなく 店頭発売ですね。
24話から26話までを収録しているのですが、あらためてスチルなどを読み返してみると 感慨深いものがあります。画面写真の下についているキャプションが文学的で、編集さん 力入っているなあと思うことしきり。この巻で宮田氏が嘆きのキッスで言っていたカニの謎が 解けます。
いえ、私もカニなど食したのは数年ぶりです。そう、スタッフ&編集部の座談会が収録されているのです。
NEXTは色々な意味で幸運な作品でした。先日某有名プロデューサーにお会いしましたが、NEXTは 手がかからない番組だったそうです。つまり大事故や放映に穴が開く寸前という緊迫した事態は なかったというわけですね。そのぎりぎりまでは肉薄していましたが。
放映終了後の反響も真っ二つになりました。これはある程度予期していましたが、これも 見ていただいた証拠であると思い感謝しています。もちろん批評無きところに文化無し。 さまざまな評論には大いに勉強させていただきました。
ただ、一部に「アニメファン滅殺推進主義」とかいうのが出現してしまったのは残念でなりません。 正直、伝言板を見て暗黒な気持ちになってしまいましたが・・・ それでも毎週見ていて下さったのでしょうね。その方達。気に入っていただけなかったのは 作り手として非常に残念で、慚愧に耐えませんが、一番つらいのは「気に入らない」といって 全く無関心に見もしてくれない方達です。「見てないから知らない」という方にはただひれふするしか ありません。
滅殺行動も負の反響なのでしょうか。とはいえ私たちも反省点を十分にわきまえ、より一層 努力いたします。どうか私を許して下さい。
皆さまの熱い支持のおかげでNEXTはエヴァンに次ぐ人気作と認識されるに至りました。故に作り手としても 責任も感じており、スタッフは口にこそしませんが一種のプレッシャーを感じているようです。
なんとか無事の再開を祈りつつ・・・そして前作にもまして面白いものを提供しようとプロ意識に 燃えております。
テレビ版スレイヤーズに馴染んでしまうと逆に違和感があるのですが、実はアメリアって リナより身長が高いんですよ。NEXTがスタートする時、アメリアの身長をどうするかで けっこう悩んだ記憶があります。リナよりかなり高い。相当高いんです。
年齢設定はリナより一つ下のはずなんですが、その発育の良さは姉譲り。流石というしか ないですよね。
無印のときは画面見た目の絵を考慮してアメリアの身長を低く設定したのですが、作品が 浸透して、作り手の私たちもより一層原作を理解するにつれて、アメリア身長の原作との 落差が気になってきたのですね。ちょっと低すぎるかな〜。
よし、アメリアの身長を伸ばそうと決断したのは既に作画に入ってからです。 結果的にリナと互角の身長を獲得しました。急激な成長です。その豊かな胸はすでにリナを 遥かに凌駕していますが、ついに身長でも追い付かれた訳で、ああリナが可愛そう。
うーん・・・画面ではそうは見えない場合が多いんですが、非公開の基本対比設定はリナとほぼ同じ身長です。 何故か描き手がアメリアを小さく捉えてしまうんで、なかなか徹底できなかったんですが。とほほ。
で、テレビでもこのまま行くと確実にリナを追い越してしまいます。リナより背の高いアメリア。 うーん、想像するだけで違和感あります。でも、姉さんは・・・うっわー、ガウリイと互角ですよ。 アメリアもここまで伸びるんでしょうか?てなわけで、ことアメリアの事となると話は尽きませんが、実はセイルーン編でアメリアの初恋話を 挿入しようという案がシナリオ段階で浮上した時期があります。
初恋の相手は他でもない従兄妹のアルフレッド。これはありそうな話ですね。結局原作にない このエピソードは 触れずじまいでしたが、うーん・・・アメリアの初恋ってのも想像するに違和感ありますねえ。
テレビ版独自の裏設定ですが、アメリアは宮廷の女官たちに囲まれて育ったということで、色恋の 知識だけは豊富なんです。実は恋愛評論家・・・または耳年増だったんです。
ヒロイックサーガを読みふける傍らでハーレクイーンロマンスも読み耽ったか、女官らに語り聞かされたに 違いないですね。
だから13話で、リナとガウリイのいいムードにいちはやく自分がときめいてしまったんです。無印の 時もガウリイがシルフィールとキスしていると勘違いして、リナの顔に覆いかぶさって その視界を塞いでひどい目にあったシーンがありましたよね。
私が絵コンテを描いたり、チェックしているときに常に参考にしているコミックがあります。 「あらいずみるい」版のコミック。あと義仲版のコミック。最近は義仲さんのコミックを 座右に置いている場合が多いですね。
義仲さんのリナは日常シーンのふとした表情がキュートで大好きです。ベットサイドに 腰掛けて、眼鏡をかけているリナのショットが大好きで・・・同じコンセプトのイラストは あらいずみさんのイラストにもありましたね。
リナという子は表情が豊かすぎて、怒っているシーンだからといって怒った表情をするとは限らず、 実に表現が難しいんです。リナなりの表情を探すんですが、そんなとき先入観なしで義仲さんとかの コミックをニュートラルな気分で読み返してみるんですね。そうするとはっと思い当たる表情にぶつかって インスピレーションを得るんです。
自分の感覚だけで芝居をつけていくとどうしてもスタイル化してくるんですね。形だけになってくる。 血がかよわなくなってくるんです。自分の気がつかないうちに。
そうなることが良く分かっているので自らを修正していく訳なんです。
もちろんアニメーションは大勢の人の手を経ていくので、いかにコンテで表情を作ってもそのまま 画面になるとは限りませんが、不思議な事にニュアンスって残ってしまうんですね。 あ、ここは義仲リナっぽいってところを探すのも面白いかもしれません。もちろん私自身が コンテを描いた話数に限っての話ですが。
義仲さんには、何度か打ち上げなどでお目にかかっていますが、残念ながらお話しできる機会に 恵まれなかった。次の機会にはきっとお会いして、お話しして、サインがほしいなあ(笑)。
神坂さんより神族系の魔法原案をいただきました。初めて目にする、いえ初めて知るものばかりで 驚嘆しています。
やはりカオスワーズに相当する力ある言葉により発動するもののようですが、その発音はおそらく 人間が習得するにはあまりにも困難。
そもそも、黒魔法などの呪文って・・・テレビでは日本語吹き替え版でして・・・って、そう 主張したのは実は私だったりするのですが・・・リナたちが唱えている呪文って梵語みたいに 難解な・・・かろうじて人間が発音できる外国語みたいなものだったりするんです。
もちろん文法と意味を正確に理解しなければ発動しないか、もしくは不完全であるとテレビでは そう設定しています。・・・ああ、私を許してください(;_;)。
神族の魔法?もこの体系にそったもののようですね。神族の魔法が使えるようになるということは魔族の結界の・・・。
ああ、賢明な皆様なら察していただけますよね。はやく公式に発表できる日が来ることを 誰よりも私が切望しています。
next14話に挿入歌として使われたあの恥ずかしい歌・・・乙女の祈り・・・これこそ 思いつきの産物です。冗談が本当になったという典型的な見本です〜(;_;)。
では、その顛末をお話ししましょう。ちなみにあの作詞は私なんです。ご存じでした?
実はもともと恥ずかしい歌にするというコンセプトではなかったんです。ものすごく 由緒正しい、真面目でクラッシックな・・・・歌詞・・・というか賛美歌のような歌詞で、その 「美しき神聖なる乙女」という部分にガウリイとミミ&ネネが突っ込みを入れるというそれだけの ものだったんです。それを 何をどうまちがってしまったのか、ああなってしまいました。
テレビ版に限っての話ですが リナは実はそうとう奥手で奥ゆかしい古風な女の子ではないか?
現場ではこんな仮説が流布しはじめたのがちょうど14話の頃なんですね。その根拠は 結構いい加減なんですが、極端に露出の少ない服装を好み、いっこうにガウリイと間違いを 犯そうとしないなんてところから来ています。
なんか躾の厳しい家庭に育ったような気がしません?リナって。
おそらく、露出の少ない服装は過酷な旅の状況と戦闘に備えてのもので、躾は・・・別の意味で 厳しかったのは確かなんですが・・・
と、まあ、こんなことが頭の片隅に引っかかっていて・・・・リナがステージの上に上がって 極端に恥ずかしがる・・・というシチュエーションに行き当たった際、露出が多い服、古代 エジプトの踊り子の服・・・・・ミニスカートでフリフリの衣装・・・70年代末期のアイドル衣装・・・という ようにコスチュームの連想の行き着く結果、歌詞そのものを替えてしまおうということになったんです。
そこから先が大変でした。まず、恥ずかしさのエッセンスを研究しなければということで、知人に頼んで 大昔のアイドル歌手の歌詞を徹底的に学習。EP版のレコードジャケットを読みあさったという訳でして。
雰囲気をつかんだらオリジナルの作詞に入ります。これが難物で・・・しかも歌詞にあわせて フリもつけなければならないので歌トータルの長さも先に決まってしまっているしで・・・ もっと辛い事にコンテも終わっていて、レイアウト作画にも入ってしまっている段階でコスチュームと歌詞だけ差し替えるという 至難の技を要求され・・・完成まで三日もかかったというのがあの「乙女の祈り」という歌詞です。 自筆でラフに書きなぐって、そのワープロ清書を事務の女の子にやつてもらったんですが、その子が 爆笑するもので、これはいけるかもという妙な確信もありましたが。(笑)
その後、さらに音楽の発注という難関が待ち構えていまして、作曲が実はあの奥井さんなんです。 まさかそんな大物に発注されるとは思ってもいなかったものですから、音楽打ち合わせのときは さすがに焦りました。電話で打ち合わせしたんですが、先にフレーズごとの秒数が決まってしまっている という変則的で掟破りの発注となってしまい、たいへんなご苦労を強いてしまいました。 ああ、私を許してください。 でも、出来上がってきた曲を聞いたときは感涙もので、照れ臭さと恥ずかしさで思わず身をよじってしまいます。まさに悶絶状態ですね。
賢明なファンの皆さんはとっくにお気付きとは思いますが、NEXTのギガスレイブはテレビ版 独自のSF的な解釈を加えています。スレイヤーズにSF風の解釈は相容れないものですがこれには 訳があります。
お話しはNEXTスターとの頃に遡ります。スタート当初の最初の神坂さんとの打ち合わせのさい、 テレビ版での最終話をどうするかということで数時間にわたって会議を行ったことがありました。 リナに降臨したロード・オブ・ナイトメアがフィブリゾと相打ちになるというラストをテレビでは ひとひねり加えたいという神坂さんの意向を組み入れ、実際どう映像とドラマで表現するか・・・・。 かなりの難題で、神坂さんからバケツキャパシティ・・・それもけた外れなもの、さらに ナイトメアの人格・・・超越的存在の解説を聞くにつけ混迷の度合は深まり、結局明確な結論が 出ないまま最終話までの宿題となったのです。
ここで私は一つのインスピレーションを得ています。
つまりギガスレイブとは・・・・・・・・巨大な重力現象ではないかと・・・・・。 ノートには次のようなキーワードとその解釈が書き連ねられていました。今読み返すとなかなか 面白いのですが・・・ナイトメア=裸の特異点の出現。
漆黒の空間=事象の地平線の内側
混沌=ヒックス場・・・・真空のエネルギー
暴走=インフレーション
ギガスレイブ制御形態=スーパーストリングとしての出現
結果的にこの解釈の延長線上に出来たのが#25〜#26最終話の描写だったのです。 この解釈でいきますと、リナの肉体も、後から飛び込んだガウリイの体も特異点に引き込まれ ガンマ線を放って消滅・・・・・その再構成は因果律をあやつることの出来る唯一の存在・ナイトメアに よってなされた・・・ということになります。
というわけで、あくまでも映像化を前提とした解釈で原作小説とは相容れないのは承知の上なんですが カタストロフの描写はこのブラックホール現象に準じて考証しています。ああ、私を許して。 蛇足ですが、ジェットの放射も降着円盤もちゃんとあったりします。
オンエア後、視聴者から生命受精の様子にもみえるという解釈が寄せられ、これには私自身感心しています。
NEXTで落ちるところまで落ちてしまったゼル。スレイヤーズ世界でほとんど唯一の常識派・・・を ヒタ走るはずだったのに・・・何故?
これがために、女性系の同人誌のみなさまの最大級のヒンシュクを買ってしまったのは言うまでもありませんが・・・このゼル現象が作り手にとって最も不思議な出来事でした。 架空の・・創作上のキャラでありながら、いったん自我を持ってしまうと、そのキャラクターの 自立した意思で動き出すとしか言い様のない現象が発生します。
アニメ版の作り手の最たる私をしても制御できない不思議な力。この現象を「キャラが独り歩きする」と 呼んでいます。私はゼルは望んであの芸風を得たかったのだと信じています。 実はゼルをああいうふうに扱うとは当初、誰も考えていませんでした。シナリオでも、その構成会議でも。
しいてその発端を探すなら・・・そうですね、アフレコの合間の林原さんと緑川さんの冗談合戦が 何らかの形でフィードバックしたのかもしれませんが・・・あまり根拠はなさそうですね。 やはりゼルガディス自身の意思が反映したのでしょう。私の持つ鉛筆の先から動き出すゼルは 実に自然におちゃらけてくれました。自動書記といっても良い位に勝手に演技していきます。
リナたちを前に自我を保つには、彼はああふるまうしかなかったのでしょうね。
そんなゼルを見るにつけ、彼は#15のアルテメ塔事件で悟りの境地に達したのだと思います。 あのキグルミ以降、彼の心根は実に素直になったとは思いませんか?
リナをも凌駕する卓越した洞察力と、自然を理解し、摂理と道理を重んじる資質を得て、ハイプリーストの 道へとまっしぐらに進んで行くのでしょうか?
と言う訳で、これがアニメ版のゼルです。ああ、私を許してください。ゼルのフルネーム・・・ゼルガディス=グレイワーズという名が明らかになったのは多分ドラマガ誌上が 最初だったはずですが、実際にはかなり初期の段階で知っていました。これも例によって非公式設定 ということで使用を自粛していたのですね。ということは当然レゾ=グレイワーズがひいじいさんに あたるわけで・・・グレイワーズ・・・意味しんですね。
非公式設定には驚くようなものがあったりします。ゼラスメタリオムが実は女性人格だなんて。そんな。 おおっと、って、これは既に知られていますか(笑)。
NEXTのオリジナルキャラ・・・マルチナ、彼女が誕生したいきさつは結構複雑なものが あります。
実はNEXTの放映決定はかなりの難産でした。諸事情・・・もろもろのパラメーターが相互に 複雑に絡み合って(おもに権利関係の調整)、暫定オンエア決定からなかなか前進せずに 決定的GOがかからないままいたずらに 時間だけが過ぎていた時期がありました。
現場とは悲しいもので、GOがかからなければなにも出来ないという脆さがあります。そう、何をするにも 予算が降りなければ動けないというのはまるでどこかの省庁とおんなじですね(笑)。
暫定オンエア決定期間の進展事情は私たち現場にはほとんど降りてきませんでした。 実は現場に話が降りてきた時点で、スポンサード側の意向と言うことでマルチナを出すということは 事実上の決定になっていました。
トップダウンだったんですね。もちろんこの段階でマルチナという名前は決まっていませんでしたけど。ナイスバディの女の子をだしてくれ・・・その単純明快路線に反発するのは簡単でしたが、ここは なんとかして新たなキャラクターをクリエイトするという前向きな思考で望むことに。
何事もプラス思考です。それこそスレイヤーズの目指すところですし。
で、方向としてはナイスバディの娘(笑)・・・それだけ。しかし劇場版にはナーガという大先輩が。 これは正直困りました。どうしたものか。で、ライターさんとどうするかという会議に入ったのですが、ここで出た初期のマルチナ像はというと・・・
旅の吟遊詩人・・・・神聖なる尼さん(笑)・・・おんなバーサーカー(笑)と色々。
結局、アメリアと対局をなすゾアナの王女にするというのは私のアイディアだったと記憶しています。 落ちぶれてマルチにアルバイトに励むということでマルチナ。そのフルネームについては後日談がありますが(笑)。
魔人を崇拝するというのはライターさんのアイディア。これは時節がらちょっと危ない要素をはらんでいましたが、 そこはギャグで切り抜けるということで(笑)。
で、あらいずみさんにキャラクター原案を発注する形となる訳ですが、このへんで情報の時間軸が錯綜し、暫定段階の オフィシャル独自の動きが生きていたりして、ちょっとした混乱を生じます。
このへんは神坂さんのイメージであらいずみさんにお願いしたというのが公式見解(^ ^;)。 ラジオ出演した時の私の発言がちょっと歯切れ悪かったのはこんな事情によるんです。
あらいずみさんのキャラ原案は早々にドラマガ誌上で発表されたのでご記憶の方もいるかとおもいますが、
かなり過激なボンテージルック(笑)。いえ、私は好きなんですが(^ ^;)。
まあ、あの程度なら特に問題にもならなかったんですが、時期が悪かった。
同じ局の某アニメ番組が引き金となって、エッチ排除の自主規制の嵐が吹きまくっていた時期でもあったのです。
スレイヤーズはしっかりとマークされていまして、コスチュームに当然ながら厳しいチェックが入ることに。 結果、マルチナの服装はあのガーターベルトが無しになり、生足はグレーのタイツに変更。
てなわけで、マルチナは完全に逆風のなかでの誕生となったのです。不憫な子です(^ ^;)。
マルチナの人間像は作っていくなかでだんだん熟成していったといえます。中盤では、役割がなくなってしまい、 ライターの重荷になりつつありましたが、リナと対局をなすべく恐ろしく自分に正直な子・・・
そんなマルチナ像が確定してきたのはかなり後半になってからのことです。
マルチナを存在意義的に絶対に殺さないように・・・その結果が#25のマルチナ、あの壮絶なリナ説得のシーンへと繋がります。 リナ説得の台詞と芝居は私が コンテの段階で書き加えたものです。あのシーンによってマルチナはNEXTにとってかかせないキャラに 成長したと自負しているのは親馬鹿でしょうか?
柊さんの好演もあって、ナーガとは一味違ったミョーなたち方を遂げたキャラになりました。
NEXTの9話だったはずです。そう、セイルーン王宮のカフェテラスでセイルーンのお家騒動からみで ゼルガディスがアメリアに不用意な発言をしてしまうシーン。アメリアは「だからこそ絶対の正義が 必要なんですっ」と即座に応酬していますが。
実はこのシーンと台詞はシナリオにはなかったシーンなんです。
絵コンテチェックの段階で私が書き加えたものなんです。さらに言えば、その台詞の一部は アフレコで変更になってしまいました。本当は次の様なことを言っていたんですね。ゼルガディス「しかし今回の暗殺未遂といい、セイルーンとはよくよくお家騒動が尽きない国だ。第一王女・・・つまり、お前の姉さんの失踪といい・・・、聞けば、お前のおふくろも殺されたって言うじゃないか」。
太字の部分に注目してください。この台詞はオンエアされませんでした。ランディの謀反の件に 私自身で訂正をアフレコ途中に加えています。
話は戻ります。そもそも何故私がコンテ段階でアメリアの過去の出来事・・・特に母親の件に 言及したのか?
アメリアの母親暗殺事件は姉グレイシァ(笑)流浪の直接の原因でもあり、( ちなみにグレイシァは母の形見の衣装を身につけて、しかも方向音痴だそうだ) アメリアが正義をかたくななまでに信奉し、魔道に没頭する原因でもあるのですが原作では全く語られていない部分です。 これは裏設定といい、私たち作り手がバックボーンとして踏まえておかなければならないのですが、 表だって語られることのない部分です。さて、ことNEXTの9話に至までテレビでのアメリアの過去は全くの謎のままです。 過去のないキャラクターは過去がないものとして扱うというのが私の無印からの演出的な指針でも ありましたが、ことアメリア・・・特にここまでキャラがたってくると過去の姿が見えないという 現状に私自身納得がどうしても行かなくなって来る。自分自身でキャラに感情移入出来るよう納得できる 事実を放り込みたかったというのが正直なところです。
これがアフレコの段階になってオフィシャルからクレームが。とほほほ。
あくまでも非公式設定であり、原作以外のメディアでのファーストオープンは避けてほしいとの 申し入れ。もっともな理由です。少々抵抗しましたが、ここはあっさりと身を引くことに。 たしかにこれは私の勇み足でした。私を許してください。
でも、当初の台詞どおりに言っていたら、アメリアというキャラにもっと深みが増したと今でも 思っています。 フィルムブックの9話を扱ったくだりで、この辺のフォローが若干ながら記事になっていました。 編集のみなさん、ありがとう。私の言いたかったこともそうなんです。 同様なことはリナにも言えます。実はリナとは・・・、おっと、また勇み足をやってしまうところですね。
勇み足はまだまだあります。ゴルンノヴァの件・・・22話でいきなり出たこの台詞。 実は最終話前後でフォローする予定でした。 そもそも魔族が人間界の仮称である「光の剣」という呼び名を使うかどうかという問題もありますが 、本当は最終話で光の剣は持ち主のところにもどり、その説明をゼロスの口から語らせるはずだったのです。 それがああなってしまいました。
つまり、急遽光の剣を残すという方針に転換したのです。 その訳は・・・きっともうすぐここにも書けると思いますが・・・この急転換によって 一旦張った伏線のフォローを挿入する余地がなくなってしまい、まったく意味不明になってしまいました。 これは私の構成ミスです。ファンの皆さんごめんなさい。私を許してください。
でも、このミスが実は思わぬ展開へと・・・ダークスター・・・あわわ。
と言う訳で、転んでも只では起きない私であった。
お話しは無印の頃に遡りますが、テレビアニメ版スレイヤーズの面々で一番異彩を放っているのは何といってもアメリアでしょう。 実はキャスティングの際に一番物議をかもしたのもこのアメリアでした。
おそらくは、私が最初に原作小説を読んで頭に思い浮かべた声はみなさんが想像する声とそんなに 大差がないと思っていますが、実際、私も一種の固定イメージといいますか、アメリアならこんな 声だなっていう強い思い込みがありました。
私のイメージ通りにいっていたら・・・多分、誰も異議を唱えるような事もなかったはずですが、 ここに怖い落し穴が存在します。いわゆる・・・ハマり過ぎというやつですね。これが怖いんです。
ハマり過ぎた声はキャラクターを全く立たなくしてしまいます。平凡な存在にしてしまうんですね。 実は今のアメリア役・・・鈴木真仁さんを最初に押したのは局の女性プロデューサーでした。
もちろん「某ずきんチャチャ」の声ですでに有名になっていましたが、アメリアに・・・?
一瞬頭を抱えましたが、すぐに「いいかもしれない」と直観的にひらめきました。理由は良く分かりませんが とにかく・・・良いかもしれない。それだけ(笑)。
説得力欠如の極みですが、とにかくそれで行こうということで決定に。
実は、これに関してオフィシャルからの疑問符はけっこうあったのですが、その段階では 結構自信もっていました。大丈夫だ。いけるっ!と・・・。
で、アフレコ当日。アメリア初収録の日です。
鈴木さんはランスルー・・・つまり最初の流しの時はマイクの前に 立たなかったので、調整室のモニターからはまだその声が聞こえて来ません。台本と画面を交互に忙しく顔を往復させている鈴木さんの 緊張した姿が見えているだけです。
まだ世界中の誰も聞いたことのない アメリアの声・・・。もう間もなくその声が現実の声として世に出る。こちらの緊張も高まります。
キューランプが「TEST」に切り替わります。
声優さんたちがそれぞれマイクの前に立ち、いよいよ収録テストが始まりました。・・・・・そして、ついに アメリアの登場シーンに。
口上を朗々と述べるシーン。 次の瞬間モニタースピーカーから響渡ったのは・・・もう皆さんご存じのあの声でした(笑)。
「うっわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」。背筋に走った電撃で多分私の体は10センチぐらい椅子から 浮き上がっていたはずです。
すっごい違和感。
脳味噌がクラインの壷に吸い込まれていって、異世界のホワイトホールから噴出していく ような言いようもないミスマッチ感。「失敗した・・・?」・・・急激に血圧が下がっていくのを感じましたがしばらく耐えていると・・・いいんだなぁ〜これが。初声出しからわずか数分後にはアメリアはこれしかないと100%確信っ。
途方もない真直ぐ感・・・私がアメリアに無意識に求めていたものもはっきり見い出せました。
いけるという確信を得た私は矢継早に演技の注文を出していきます。困惑する鈴木さん。 鈴木さんごめんなさい。でも収録のあいだ中「アメリアがんばれっ!」と呪文のようにつぶやいていたんですよ。
後に私の「アメリアがんばれつぶやき」が鈴木さんにも伝わっていたらしく、鈴木さんがお礼を言ってましたよと、プロデューサーの方に教えられたときはちょっと感慨深かったですね〜(^-^)。
テレビアメリアは後に神坂さんの小説にも影響を及ぼすこととなり、神坂さんをして「アメリアはあの 声しか考えられません」といわしめ、小説「アメリア漫遊記」に発展するとはこの時は思いもしませんでしたが、現場に強烈な世界最初のテレビアメリアファンを誕生させたのは確かでした。
世界最初のテレビアメリアファン・・・言うまでもなく私の事です(笑)。
遅まきながらプロフィール(10/25)
そして「河口もと」の謎
わしは結構古いです。ナウシカの原画やってましたといえば大体の歳が分かるかなぁ。
うーん、ナウシカのオープニング見て仰天してください。当時二十台前半でした。
ナウシカ以前はアメリカ系のアニメスタジオで海外もののアニメばかりやっていました。アメコミフリーク だったのです(笑)。
ホビットの冒険、クリスマスキャロル、ザ・ラストユニコーン、フライト・オブ・ドラゴンなどなど およそ国内でなじみのないものばかりですね。後ろのほうの作品では作画監督でした。 国内ものに転じてからは・・・裏街道まっしぐらですが、「じゃりんこチエ」「ルパン三世」の原画、「ハイスクール奇面組」では演出と作画監督を 何話か兼任していたりしています。そうだ「うる星」ってのもやってたなあ。 懐かしいなあ。
監督に転じてからは「ミラクルジャイアンツ童夢くん」、OAVでは「イース2・天空の神殿」なんてのを 手がけています。わりと寡作です。仕事がないときは謎の工場で構内運搬のバイト、または失踪(笑)。 実は某大学出身。アニメとは全然無縁で関係ないところにいましたが、当時興味があった女の子がたまたまアニメの仕上げのバイトをやっていまして、ひやかしに行ったのがアニメを知った最初。
アニメは全く知らず、漫画家が作っているものだと思い込んでいました。 ・・・・・で、とっととフラれて、自分だけが居残ってしまった(笑)。
時は流れて・・今は・・・昔と全然変わりません。
教訓は女の子は男子一生の道を狂わせるといったところでしょうか(笑)。
ところでスレイヤーズのスタッフクレジットに何度か現われた「河口もと」なる人・・・実は私です。 何話かで作監やってますよね。のっぴきならなくなった時現われるという訳で・・・。 この名前、ウェディング・ピーチの方でも見かけませんでした? 「KYE 」とかでも(笑)。
監督何をする人ぞ?(10/17)
アニメーターや作画監督の仕事内容は良く知られていますが、監督って何をやっている人なんでしょう?
実は意外に知られていないようです。うーん・・・一言で説明しにくいですね。列挙してみましょうか。
スレイヤーズの場合・・・基本となるプロットをもとに、シナリオライターにこれこれこういう展開でお願いしますという形でシナリオを発注します。で、上がってきたシナリオをチェックします。ライターの意向を生かしつつ、軌道修正を行います。ドラマみたいに気に入らないからといって破り捨てるようなマネはしません(^ ^;)。
そうそう、原作に記述のない精霊系の魔法呪文は・・・実はシナリオでも只の空白行だったりします。
ある時なんかただ「ぶつぶつ」と、文字どおりそれしか書いていないのです(笑)。
実は、原作者から提示されたある種の法則に乗っ取って私が考え出したものがずいぶんあります。 ああ、 原作ファンの方許してください(^ ^;)
大部分は絵コンテの段階で芝居を計算しつつ書き加えますが、たまに忘れてしまって、アフレコ当日まで
空白のままだったりする ときがあったりするんですね、これが。
で、林原さんから 「これ、なんて言えばいいんですか〜?」 なんて突っ込まれて、あわてて私がその場で 考える訳です。この間約10秒足らず(笑)。
その場はこうして逃れても・・・後でまた同じ魔法が出てきた時は焦ります。忘れてしまっているんです。 で、必死になって前の話の修正台本をめくるなんてはめになります。
ところが林原さんはさすがで、ちゃ〜んと覚えているんですね、呪文。
何度か助けられたことがあります。
で、シナリオOKとなったら絵コンテに入ります。打ち合わせを通じて発注するときもありますし、自分で描く場合もあります。
というわけで、長くなりそうなのでこの項次回に続きます。
アフレコあれこれエピソード(10/15)
行く川の流れは絶えずして・・・とは言いますが、NEXTの最終アフレコが終わって 早一ヵ月。
「裏方は表に出ちゃいか〜ん!」と連呼していた私があろうことかHPを立ち上げてしまった。
みんなお前が悪いんだぁぁぁぁと罵る相手も電話線の彼方(笑)。こうなったら、行くとこまで行くしか ないか。
諸君っ、更新には無条件に協力するように(監督命令)(笑)。
最終話のアフレコはすっごく盛況でした。何故かって言いますと・・神坂先生とあらいずみ先生もアフレコスタジオに いらっしゃっていたからです。ただ居ただけではありません。実は両先生ともアフレコに参加しているんです。
どこにって? ・・・あのマルチナの結婚式、ハリボテの教会が倒壊するシーンの参列者の絶叫で、しっかりとマイクの 前に立って絶叫しておりました。これを称して「ガヤを録る」と言いますが、堂々出演されたというわけです。
さて、神坂先生とあらいずみ先生の声が聞き分けられましたでしょうか? 蛇足ですが私もガヤで出演してます。 マイク位置は神坂先生の隣でした。
その後、神坂さんたちが声優さんたちに自ら花束を手渡されて・・・オールキャストと共に記念写真。
ああ、至福の一時を味ったことでしょう。
私はと言えば、副調整室で最終チェックの最中でしたから・・・原作者って良いなと思わずにはいられません。(笑)
神坂先生とお会いしたのは、もう二年以上前になります。スレイヤーズ無印の準備に入っていた頃・・・ 都内の某ホテルのロビーでした。打ち合わせの最中、先生の口から出たお言葉は・・・「・・・チャチャみたいな・・・」。
「はあ?」と、私。「チャチャってあの、某ずきんチャチャ・・・ですか?」 このやりとりがその後のスレイヤーズを決定しました。いや、ほんとです。
子供の目と感性を非常に重視されてたんですね。私はマニアックな方向から攻めてこられるかと思っていましたが 全くの逆でした。打ち合わせの最中でも「このままでは子供がついてこられなくなりますから」という意味の言葉を 多発されてました。
アニメという異なるメディア展開に対して非常に柔軟な姿勢を示していただき、正直、私は感服しました。 一層ファンになったのは言うまでもありません。現場はみんな尊敬してますよ、神坂センセ(^-^)。