よいこのためのKISS講座

written by 鷹見 葉月




  リナ  「ちょっとガウリイ、それあたしの!!」

ガウリイ「お、おい。俺の分までとるなよ。」

 

   リナ達一行が旅の途中で立ち寄った小さな村。

   そこではいつもの朝食の風景が展開されていた。

 

アメリア「平和ですねえ。」

  ゼル  「ああ。」

ゼロス  「あの二人を見ていると、とてもこの世界に危機が迫っているとは思えませんね。」

 

   お茶を片手に突然現れたゼロスに驚いて、おもわず席を立つフィリア。

 

フィリア「ゼ、ゼロス!なんでこんな所に!!」

ゼロス  「おや?僕がいては何か困ることでも?」

フィリア「一緒にいるだけ不快ですわっ!!

         それに・・・あっ、それ私のお茶じゃないですか!!」

ゼロス  「まだ口をつけてないようだったので・・・あっ飲みます?」

 

   そういってカップを差し出すゼロス。



フィリア「誰があなたの口をつけたお茶など飲むもんですか!!」

ゼロス  「おや?ひょっとして、『間接キス』なるものになってしまうのを恐れているのでは?

         フィリアさんもまだまだですねえ。」

フィリア「だれがまだまだですって?!

         そういうあなたはどうなんです?!」

ゼロス  「それは秘密です。」

フィリア「そんなこといいながら、ホントはしたことないんじゃないですか?キス。」

ゼロス  「ありますよ、キスぐらい。ね、アメリアさん。」

 

   いきなり話をふられて驚くアメリア。

 

アメリア「えっと・・・あっ、前に一回リナさんのほっぺに・・・。」

 

   いいかけて、ガウリイが聞いていないことを確認。

 

アメリア「よかった。ガウリイさん聞いてなくて。」

フィリア「その程度でキスを語ろうなど笑止千万!

         それぐらいならば私だって・・・。」

 

   隣に座るゼルガディスの顔をぐいっとひきよせて・・・。

 

フィリア「チュッ!」

アメリア「ああーーーーーーーー!!!

         なっ、なにをするんですかっ!フィリアさん!」



   ゼルガディスのほおにキスしたフィリアに抗議の声を上げながらも、ゼルのほ

おをハンカチでふくアメリア。

 

フィリア「見ましたことっ。

         これであなたも、もう自慢はできないでしょう、ゼロス。」

ゼロス  「いやはや、そんな低レベルなことで張り合われても。」

フィリア「先に自慢してきたのはそっちでしょう!」

ゼロス  「勘違いしてもらっては困りますね。

         僕がいつ自慢をしたというのです?」

フィリア「さっき、『ありますよ、キスぐらい』っていったじゃないですか?!」

ゼロス  「僕はただ事実をのべたまでですよ。」

フィリア「それが自慢だというんです!!」

ゼロス  「そこまでいうなら自慢させていただきます。

         僕はリナさんと『間接キス』もしたことがあるんですよ。」

 リナ  「うっ・・・。」

アメリア「えーそうなんですかぁ?」

  リナ  「勘違いしないでよ。

         ゼロスが勝手にしてきただけなんだから。」

ゼロス  「でもしたことはしましたよね。」

フィリア「いやがっている相手にしたキスなんてキスのうちにはいらないんじゃなくて?」

ゼロス  「リナさんは嫌がってはいませんでしたよ。

         ね、リナさん。」

  リナ  「ええ、まぁね。

         (というか嫌がるヒマもなかったというか)」

フィリア「ぐっ・・・。」

ゼロス  「完敗ですか?」

フィリア「『関接キス』なんてまだまだですわねっ。

         やはりキスといえばマウス・ツー・マウス!

         『間接キス』なんて威張れるうちに入りませんわ。

ゼロス  「したことあるんですか?

         マウス・ツー・マウスのキス。」

フィリア「えっと、その・・・もちろんありますわっ!」

ゼロス  「ウソっぽいですね。」

フィリア「じゃあ今からキスなんて何でもないという証拠をみせてさしあげますわっ!」

 

   アメリア危機を感じて、さっとゼルガディスをフィリアから遠ざける。

   それを見たフィリアはまだ食べているガウリイに狙いをさだめ、ソロソロと

近ずいていく。

 

                ぼすっ

 

   いつのまにかガウリイの後ろに回り込んだゼロスがパイを投げたのだ。

  リナ  「ゼロス!なんてもったいないことをっ!」

ゼロス  「どうやらパイとキスできたようですね。」

ガウリイ「もったいないなぁ。そのパイおいしそだったのに。」

フィリア「ぐっ・・・はっ。こういう時こそおちつかねば。」

 

   そそくさとお茶をいれ、ずずぅーーーーーっとすする。

 

フィリア「あぁ。おいしい。」

アメリア「パイついたままの顔で言われても・・・。」

ガウリイ「とりあえずパイふいたらどうだ?」

フィリア「はっ!!」

ゼロス  「まぬけですねぇ。フィリアさん。」

フィリア「人をこんな目にあわせておいてよくもまあぬけぬけとっ。」

ゼロス  「ガウリイさんに奇襲をかけようとするからいけないんですよ。」

フィリア「そこまでいわれたら、しかたありませんわっ。

         勝負をしましょう。」

ゼロス  「降魔戦争のとき、数えるのもバカらしいほどの竜をぼくにですか?

         無謀な挑戦はやめたほうがいいですよ。」

フィリア「力比べではありませんわ。

         『どちらが早くキスできるか』で勝負しましょう。

         期限は今日日が沈むまで。

         どちらもできなかった場合は引き分けということで。」

ゼロス  「ばからしいですね。」

フィリア「なっ。」

ゼロス  「でもこんなばからしいこと負けるのもしゃくなので受けてたちましょう。」

フィリア「私が勝ったら、私に今までの言動に対して謝ることを要求します。」

ゼロス  「僕が勝ったら、なんでも僕のいうこと聞いて下さいね。」

フィリア「いいですとも。」

アメリア「ひょっとして、私達が被害者になるんぢゃ・・・。」

 

XELLOS’SIDE

 

ゼロス  「はてさてどうしましょうねぇ。

         とりあえずリナさんあたりをモノでつってみましょうか。」

 

   しばらくして・・・。

 

ゼロス  「リナさん・・・」

  リナ  「キスならいや。」

ゼロス  「手厳しいですね。じゃあ・・・。」



   彼が後ろから引き出したのは一匹の赤い首輪をつけた、かわいらしい(かど

うかはわからないが)レッサーデーモン。

 

ゼロス  「本当は許可なくこんなもの作っちゃいけないんですけど、まぁ一匹ぐらいなら・・・。

         持ち主の命令をよく聞くいい子ですよ。」

  リナ  「お役所仕事ばかりやっているあんたにしては珍しいじゃない。」

ゼロス  「ぢつは必要ある場合はいいといわれてたんですけど・・・。」

  リナ  「なんか言った?」

ゼロス  「いえ・・・。」

  リナ  「そんで、これもらってどうしろというの?」

ゼロス  「好きにして下さい。

         売り払うなり、見世物にするなり、非常食にするなり・・・。」

  リナ  「レッサーデーモンなんてそんなに高く売れるワケないでしょ。」

ゼロス  「いえ。

         例えばこのレッサーデーモンは誰のいうことでも聞きますとうりこ

み、デーモンにこの人のいうことをよく聞くのよ、

         と命じます。」

  リナ  「ふむふむ。」

ゼロス  「そして、このデーモンは人見知りします、なんていって転売を防ぐ。」

  リナ  「なぁる。で飽きたところで半額ぐらいで買い戻して、何回も売りつける!!」

ゼロス  「それは少しせこいような・・・。」

                                           

  リナ  「いいの、いいの。お金のためよ。お・か・ね!」

ゼロス  「じゃあ・・・。」

  リナ  「あーでもキスはちょっとなぁ。

         花もはぢらう乙女だし・・・。」

ゼロス  「おとめ・・・?」

  リナ  「なによ、なんか文句あるの?」

ゼロス  「いえ・・・。」

  リナ  「んじゃだまる。」

ゼロス  「はいはい。

         で、結局のところどうするんです?

         僕とキスするのか、しないのか。」

  リナ  「う〜ん。お金をとるか純情とるか・・・。

         いちお〜『ふぁーすときす』だし・・・。

         でもへるもんぢゃないしぃ・・・。

         よし!決めた!」

ゼロス  「で、答えは?]

  リナ  「いいわよ。

         キスぐらいどーんときなさい!!」

ゼロス  「どーんとですか?」

  リナ  「そうどーんと。」

ゼロス  「じゃあ少し目をとじていてください。

         すぐすみますから。」



   そういってゼロスは軽くリナのあごを持ち上げると、そっと顔をちかずけていった。



  リナ  「ストップ!!!」

ゼロス  「どうかしましたか?」

  リナ  「あのさ、ディープキスとかはやめてね。」

ゼロス  「『でぃーぷきす』?」

  リナ  「えーっと、相手の口の中に舌つっこんだり、ぶちゅーて吸ったりするやつ。」

ゼロス  「・・・わかりました。」

  リナ  「それからあんた口キレイ?」

ゼロス  「口、ですか?」

  リナ  「そ。乙女の唇奪うんだから、それぐらいのみだしなみはととのえてもらわないと。」

ゼロス  「はぁ。そういうものなんですか?」

  リナ  「そういうものなの。」

ゼロス  「口のことなら大丈夫だと思いますよ。

         さっきの香茶ミントティーでしたし。」

  リナ  「あとあんた、魔族だからってへんなビョーキとかもってないでしょうねぇ。」

ゼロス  「ないです。」

  リナ  「んじゃ・・・いいわよ。」

   

   さっきと同じシチュエーション。

   唇と唇の距離はどんどん縮まって・・・。



FIRIA‘S SIDE

フィリア「あんなこと言ったはいいけど・・・どうしたらいいの?」



   一人とぼとぼ歩くフィリア。



フィリア「やっぱりガウリイさんかゼルガディスさんに頼むしかなさそう・・・。」

アメリア「あっ!フィリアさん!!」



   ささっとゼルガディスを守る体勢をとるアメリア。



アメリア「いくら負けたらなんでもいうこときかなきゃいけないからって、ゼルガディスさんにキスしちゃだめですよ!!」

フィリア「うっ・・・っ。」

アメリア「巫女として恥ずかしくないんですか?

         他人の唇盗もうとするなんて!」

フィリア「でも・・・。」

  ゼル  「まぁ確かにゼロスのいうことをなんでもきくというのは少しやっかいだな・・・。」

フィリア「じゃあ・・・。」

  ゼル  「だがキスはごめんだ。」

フィリア「うっ・・・じゃあどうしたら・・・?」

  ゼル  「徹底してゼロスの邪魔をすればいい。

         引き分けになるように。」

フィリア「そうですよね!

         じゃあ、さっそく邪魔しにいきましょう!」

アメリア「私達もですか〜?」

フィリア「もちろん!」



 

BACK  TO  BOTH‘S SIDE

   ゼロスとリナの唇がどんどんちかずいて・・・。

アメリア「あそこです!

         あぁーーー!もうだめかも・・・。」

  ゼル  「アメリア、いくぞ!!」

アメリア「はいっ!!」

アメリア+ゼル『破霊裂(ラ・ティルト)』



              ぢゅどーーん



フィリア「やりましたわ。」

ゼロス  「なかなかおもしろいプレゼントをありがとうございます。」



   リナを連れたゼロスがフィリアの後ろに現れる。



アメリア「リナさん!!]

  リナ  「なっ、なに?」

  ゼル  「なにでつら黷スんだ?」

  リナ  「なっ、なんのことよ?」

アメリア「キスの代償にゼロスさんから、なにをもらったんですか?」

  ゼル  「お前のことだ。

         どうせなにか金になるものでつられたのだろう。」

  リナ  「うっ・・・。するどい。」

  ゼル  「だてにお前と旅をしているわけではない。

         で、なにをもらったんだ?」

  リナ  「・・・レッサーデーモン。」

アメリア「レッサーデーモン?!」

  ゼル  「またヘンなものを。」

アメリア「レッサーデーモンなんていう悪のゴンゲの様なもののために、キスをするなんてっ!!

         正義じゃないです!!」

  リナ  「あたしがいつ正義になった?」

アメリア「リナさん!忘れたんですか?

         二人で夕日に向かって誓ったじゃないですか?

         正義をこの世に示すため、この世の悪をすべて消し去ると!!」

  リナ  「誓ってない誓ってない。」

フィリア「アメリアさんの言うとおり!

         こんなレッサーデーモンのために・・・。

         ってなんでここにデーモン・・・。」

デーモン『?』

フィリア「いやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

アメリア「フィリアさん、落ち着いて!!」

  リナ  「そうよ、フィリア。お茶でも・・・。」

ゼロス  「はい。お茶ですよ。」

  リナ  「ありがと。フィリア、お茶よ。」

フィリア「ごくん。」



   お茶に口をつけたとたん、フィリアはパタッと倒れて・・・。



フィリア「すぴー。」

  ゼル  「ねてる!?どういうことだ、ゼロス!!」

アメリア「あの・・・ゼルガディスさん。リナさん達、どっかいっちゃったんですけど・・・。」

  ゼル  「逃がしたか・・・。」

アメリア「とにかくフィリアさんを起こしましょう。」



   浄化呪文を唱えるがフィリアは起きない。



アメリア「ゼルガディスさ〜ん。起こせませ〜ん。」

  ゼル  「ゼロスの奴、何をお茶に入れたんだ?」



   ゼルガディスの言葉に木の上から返事をした奴がいた。



ゼロス  「それは秘密です。」

  リナ  「本当のところは、どうなのよ。」

ゼロス  「さぁ、どうでしょう?」

  リナ  「はぁ・・・。」

ゼロス  「それよりお昼食べに行きません?」

  リナ  「お昼ぅ?」

ゼロス  「そうです。

         けっこうおいしいお店知ってるんですけど・・・。」

  リナ  「ま、ちょっと早いけどいいか。」

ゼロス  「じゃあ・・・。」



   ゼロスがリナの手をとると、フッと二人は消えた。





XELLOS‘S  SIDE  AGAIN

ゼロス  「ここです。」



  ゼロスが指し示したのは、少し大きめの、こぎれいなお店。



ゼロス  「さ、入りましょう。」

  店員  「いらっしゃいませ!

         こちらの席へどうぞBこちらがメニューでございます。」

  リナ  「んじゃあ、このメニューにあるのとりあえず全部ちょーだい。」

  店員  「全部・・・ですか?」

  リナ  「そ、全部。」

  店員  「・・・かしこまりました。」



   店員が変な顔をして去っていく。



  リナ  「ところであんた、お金持ってんの?」

ゼロス  「備えあれば憂いなし、ということでけっこうもらってきました。」

  リナ  「あいかわらず、お役所仕事してるわね。」

ゼロス  「しがない宮仕えですから・・・。」



   ゼロスは苦笑してジュースを一口、口にふくむ。

   山ほどの料理を抱えた店員がやってくる。



  店員  「おまたせしました。」

  リナ  「おいしそうー。

         いっただっきまーす!」



   リナはすごい勢いで、ゼロスはすこしずつ食事をはじめる。



  リナ  「そういえば、あんたって食事からエネルギー作り出せるの?」



   ゼロスはいつもの通り指を一本たてた。



ゼロス  「それは秘密です。」

  リナ  「いうつもりはないってことね。」

ゼロス  「その通りです。」

  リナ  「おねえさん。チキンソテーもう一皿ちょうだい!」

ゼロス  「それだけでいいんでキか?」

  リナ  「ん、まぁね。」

ゼロス  「食べ過ぎてお腹が痛いとか・・・。」

  リナ  「ちがうわよっ!

         ただ・・・。」

ゼロス  「もしかして、キスのこと気にしているとか・・・。」

  リナ  「うぅっ・・・。」

ゼロス  「意外と純情ですねぇ。」

  リナ  「うるさい!

         それが、花の乙女の『ふあーすときす』を奪う男の態度なの!」

ゼロス  「これはこれは・・・。

         申し訳ありません、姫君。」

  リナ  「わかればよろしい。」

ゼロス  「おわびにジュースでもいかがですか?」

  リナ  「ありがと。」



   リナがジュースに口をつける。



  リナ  「あっおいしい。」

ゼロス  「そうそう。いい忘れてましたけど、それ、もう僕がくちつけちゃいましたけど・・・。」

  リナ  「なっ・・・。」

ゼロス  「世にいう、『間接キス』ってやつですね。」

  リナ  「そんなこといい忘れるな!!

         竜破斬でケシズミにするぞ!」

ゼロス  「そんな事をしても無駄ですよ。

         それにいいじゃないですか。

         これからキスする仲なんですし・・・。」

  リナ  「まぁ、そうだけど・・・。」

ゼロス  「じゃあ、早く食べ終わって、アメリアさん達のところへ戻りましょう。」

  リナ  「もどるって・・・あんた人前でキスするき?!」

ゼロス  「そうですよ。」

  リナ  「そんな勝手に・・・。私はいやだからね。」

ゼロス  「リナさん。」

  リナ  「なによ。」

ゼロス  「くやしくはないんですか?」

  リナ  「なにがよ。

ゼロス  「アメリアさんに負けて、です。」

  リナ  「あたしがいつアメリアに負けたっていうのよ。」

ゼロス  「例えば身長。僕が見たところ、アメリアさんのほうが指一本ばかり高いですね。

         それに胸のサイズ。」



             ザスッ



  リナ  「うぅっ。そこまではっきりいわれると・・・。」

ゼロス  「それにこのままでいくと、ファーストキスも絶対アメリアさんの方が先でしょうねぇ・・・。」

  リナ  「ゼロス!戻るわよ!」

ゼロス  「そんなに急がなくても・・・。」

  リナ  「いいからっ。」

ゼロス  「そんなに急がなくても、キスは逃げたりしませんよ。」

  リナ  「ん、まぁ・・・。」

ゼロス  「それにまだデザートも食べてないじゃないでキか。」

  リナ  「それもそうね。」

ゼロス  「はい、どうぞ。」

  リナ  「今度は、くちつけてないでしょうねぇ。」

ゼロス  「大丈夫ですよ。」

  リナ  「そう。」



   リナ一口デザートを口にふくむ。



  リナ  「おいしい。」

ゼロス  「よかったですね。」



   そして二人は微笑をかわす。

   そんな二人のほえほえした雰囲気を見守る不逞のやからがいた。



盗賊A(以下A)「あいつっす。先生。」

謎の剣客「あいつか?昨日アジトを襲って壊滅させたというのは。

         あまり強くなさそうな男だが・・・。」

盗賊B(以下B)「違います。女のほうです。」

  剣客  「なんだと・・・。」

   A   「一見ひ弱そうですが、えらく強いんっすよ。」

  剣客  「どうでもいいが、そのしゃべりかたやめろ。」

   A   「すまないっす。」

  剣客  「もういい。

         とにかく、あいつに取られた孤児院に寄付するはずだった金をとりかえせばいいんだろ?」

   B   「そうです。」



   Bが返事をしたのとほぼ同時に、ゼロスはリナにいった。

ゼロス  「もうそろそろ出ましょうか?」

  リナ  「そうね。」



   二人が店を出ていく。



  剣客  「つけるぞっ!]

A+B  『はいっ(す)』



ゼロス  「リナさん、馬でも借りましょうか。」

  リナ  「うまぁ?」

ゼロス  「こんなにいい天気なのに、それを堪能しないのは、損ですよ。」

  リナ  「あたしが今何思ったかわかる?」

ゼロス  「いいえ。」

  リナ  「そんなつまんないこと考えてないで早く行こう、って思ったのよ。」

ゼロス  「いいじゃないですか、たまには。

         それにきっとおもしろいことが、ありますよ。」

  リナ  「なによ、面白いことって?」

ゼロス  「それはのちほどのお楽しみということで・・・。」

  リナ  「あんたがいうんだから、きっと何かあるんでしょうね。」

ゼロス  「それは秘密です。」

  リナ  「ま、いいわ。馬で行きましょう。

         でも、あたし馬に乗れないわよ。」

ゼロス  「じゃあ、一緒に乗りましょう。」

  リナ  「いや。」

ゼロス  「でも・・・。」

  リナ  「ずぅえーーーーったい、いや!」

ゼロス  「しょうがないですねぇ。」



   ゼロス、リナをひょいっと抱きかかえると、とことこ歩き出す。



  リナ  「ちょ、ちょっと。はなして!

         離してってば!」



   そして例の3人組・・・。



  剣客  「くそっ!あんなにいちゃいちゃしやがって!!」

   A   「先生に春はまだこないっすか?」

  剣客  「うるせー!

         つけるぞ!馬もってこい!」

   B   「はいっ!」



   そして結局馬に引きずり上げられたリナとゼロス。



  リナ  「おろしてっ!

         私馬は嫌いなんだから!」

ゼロス  「なんでですか?」

  リナ  「昔、ねえちゃんに遊ばれて、馬にくくりつけられて、馬がばてるまで降りられなくって、

         夕飯は食べのがすし、目は回るし・・・。

         さんざんだったのよ!」

ゼロス  「そ・・・そうだったんですか?」

  リナ  「そうよ!なにか悪い?」

ゼロス  「いえ、ただ・・・。」

  リナ  「ただなに?」

ゼロス  「いろいろと私怨の多い人だなー、と思って・・・。」

  リナ  「うるさい!」



   二人の乗った馬が林にさしかかると・・・。



   B   「そこまでだ!」

  リナ  「ん?」

   A   「昨日の借り、返してもらうっす!」

ゼロス  「お知り合いですか?」

  リナ  「知らない人よ。」

   B   「忘れたとはいわせねぇぜっ!

         昨日アジトを襲って、お宝根こそぎぶんどって行ったのを忘れたのか?」

  リナ  「忘れた。」

   B   「ならば思い出させて・・・」

  リナ  『氷の矢(フリーズ・アロー)』

 三人   「ひょええーーーーー!」

ゼロス  「おや、もう立ち直っていますよ。」

  剣客  「お前、不意打ちなんてヒキョーだぞ!」

  リナ  「そう。それで?」

  剣客  「だから、俺が自己紹介するまでは、攻撃すんなよ!」

  リナ  「わかったから、さっさと自己紹介なりなんなりして!」

ゼロス  「冷たいですね。」

  リナ  「こんなのにかまってたら、日が暮れちゃうわよ。」

  剣客  「聞いて驚け!

         この俺様は、さすらいの正義の戦士リュートだ!」

  リナ  「あんたなんか知らない。というワケで

         『爆裂陣(メガ・ブロント)』」



             ぢゅどーーーん



A+B  「またしてもーーーーー!」



   飛ばされる二人。

   どうやってかは知らないが、よけたリュート。



ゼロス  「一人残ってますよ。」

リュート「へっ、あれぐらい。」

  リナ  「さっき氷の矢くらってたの誰?」

リュート「うるせぇ!いくぞ!」



   リュート、リナに向かって切り付ける。



  リナ  「うあぁうあぁうあぁ!」



             カシャン



   リュートの剣をゼロスが錫杖で受け止める。



  リナ  「ふう・・・。

         ゼロス、ありがと。

         ついでにあと頼む。」

ゼロス  「やれやれ、無責任ですねぇ。」



   苦笑を浮かべると、リュートの剣を押し返し、ひらりと馬から降りる。」



  リナ  「そうだ!体術だけ使ってそいつを倒してよ。

         五分の勝負ほど面白いっていうでしょ。」

ゼロス  「でも、体術だけでもまちがいなく僕が勝ちますよ。

         それだったら、早くかたずけちゃったほうが・・・。」

  リナ  「いいの、いいの。がんばってねーーー。」

リュート「さっきから聞いてれば好き放題抜かしやがって!

         いくぞ!」

ゼロス  「やれやれ・・・。」

リュート「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



             カキーン



リュート「どひぇーーーーー!

         俺の剣が、俺の剣が折れたぁ〜!」

ゼロス  「あしからず。」



            バコッ



リュート「キュウー。」

ゼロス  「さて、これを手土産に早く帰りましょう。」

  リナ  「そうね。

         ところでその錫杖売らない?

         500だしちゃう!

         すごーい。細剣一本かえちゃう!」

ゼロス  「いやです。」

  リナ  「ちぇっ!」



 BACK TO BOTH‘S SIDE

   1時間後

リュート「・・・・・・。」

  リナ  「ちょっと、あいつうんともすんともいわなくなちゃったわよ。」



   荒縄でくくられ、馬に引きずられているリュートを見てリナはいった。



ゼロス  「大丈夫です。まだ生きてますから。」

  リナ  「ふうん。」

ゼロス  「もうすぐ着きますよ。」

アメリア「ゼルガディスさん、いました。

         リナさ〜ん!」

  リナ  「どうしたの、アメリア?」

アメリア「はっっ。ゼロスさんも一緒でしたか。

         フィリアさんがぜんぜん起きないんですよ〜。」

  ゼル  「ところで、後ろの荷物はなんだ?」

  リナ  「途中で襲ってきたやつその@。」

  ゼル  「生きているのか?」

ゼロス  「一応は。」

アメリア「一応?」

ゼロス  「半分死んでるってことですよ。」

アメリア「ええっ!!

         私、『復活(リカバリイ)』かけてきます!」

  リナ  「あいかわらず甘い奴。」

  ゼル  「ところでゼロス。」

ゼロス  「なんです?」

  ゼル  「フィリアを起こせ。」

ゼロス  「寝ていたほうが静かでいいんじゃないですか?」

  ゼル  「まぁ、そうには違いないが・・・。

         とりあえずあいつがいないと、右も左もわからん。」

ゼロス  「ま、そいうことなら・・・。」



   手袋の中から、小さな紙包みを取り出す。



ゼロス  「これで起きますよ。」

  ゼル  「そうか・・・。」

リュート「・・・う〜ん。」

アメリア「起きましたよ。」

  ゼル  「じゃあ今度はフィリアを起こしに行くぞ。」

アメリア「この人は?」

  リナ  「とりあえず、連れて行きましょう。」

アメリア「はーい。」



   そして一行は宿屋へ向かった。



フィリア「う〜ん。

         ここは?私は一体何を?」

アメリア「宿屋ですよ。

         ずっと眠っていたんですよ。」

  ゼル  「ゼロスに薬を盛られてな。」

フィリア「ゼロス!!

         よくもっ!」



   スカートの下から例の凶器をだすと、ゼロスに向かって投げつける。



リュート「がっ・・・!」

  リナ  「リュートを・・・。」

アメリア「盾にした・・・。」

フィリア「リュート?

         まさか・・・!」



   フィリアがリュートを抱き起こす。



フィリア「リュート!!」

  ゼル  「知り合いか?」

フィリア「幼なじみです・・・。

         どうしてこんなことに・・・。」

ゼロス  「フィリアさんがあんなもの投げるからですよ。」

フィリア「もとはといえば、あなたが悪いんですわっ!!

         私に薬を盛ったばかりか、

         あわれなリュートを盾にしてっ・・・!

         鬼!悪魔!生ごみ!!!」

ゼロス  「そこまで言われたら、しょうがありませんね。

         この試合は、僕のほうから破棄させていただきます。」

フィリア「じゃあ!」

ゼロス  「お詫びにこれでもどうぞ!!」



   ゼロスがいつのまにか出したレッサーデーモンをフィリアに向かって投げつける。



フィリア「#$¥&?!」

アメリア「フィリアさんとデーモンが・・・。」

  リナ  「キスした・・・。」

フィリア「いあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!!!!」

  ゼル  「いかん!!フィリアが竜に!!

         逃げるぞ!!」



   このあとフィリアは、村が壊滅するまで暴れまくった。

   潰れた宿屋の下からガウリイが助け出されたのは、まだまだ先の話である。

THE END


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