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生まれた以上、必ず命は尽きる

向こうの世界に行った時

自分の好きな年齢を選ぶことができるなら

あたしは迷わず「17歳」を選ぶ




あたしは少しだけ長く生きた

苦しいことや悲しいこと辛いこと

たくさんあったけれど

それ以上に嬉しいことも、楽しいことも一杯あった



向こうの世界に旅立つ前に

自分の人生を振り返ってみて、そう思う




「そろそろ、お別れを」




お医者様の声が遠くで聞こえる

3人の子供、7人の孫たちがベッドのまわりにいる

みんな泣かないで

あたしは痛みも苦しみも何もないから






「遅い」

「ゴメン。待った?」

「待ちくたびれたぜ。さ、行こうか」

と、差し出された手を取った




「死亡時刻19時30分」




「時間までピッタリだぜ」

「そうよ。あんたも10年前の今日、んでもって19時30分」

「ワンワン泣きやがって」

「仕方ないじゃない。覚悟してたとはいっても・・・・」

思わず口ごもってしまった

10年ぶりに会うってこんなに恥ずかしいものだっけ?



「ん?その先はなんだ?」

意地悪そうにあたしの顔を覗きこむ

「まあいい。あとでゆっくり聞かせてもらおうか」

そう言ってニヤリと笑うと、あたしの肩に手を回した



「方向はどっち?」

「向こうだ」



指差した方向は虹の彼方のように見える

とても明るくて光り輝いている



「俺たちの新しい世界だ」

そう言って笑いかけた司は知り合った頃の18歳のまま

あたしはふと不安になって自分の姿を見た


「何やってんだ?」

「あたし・・・・いくつ?」

「おまえ何歳で死んだ?」

「もしかしてそのまま?」



イヤだ・・・・

あたしだけおばあちゃんのままだなんて

そう思ったら何だか泣けてきた



「何泣いてんだ?」

「だって・・・・あたしはおばあちゃんで、あんたは若くて・・・・」

「そんなことで泣くなよ。俺はおまえがバアさんでも構わないぜ」

イヤだ、そんなのイヤ!



司はいきなり笑い出した

「俺はおまえを愛しているんだから外見なんてどうでもいいんだよ」

司はあたしに嘘をついたことはない

今の言葉は本当なんだろうけど・・・・・

でもイヤ


いつまでも泣き続けているあたしの頭をポンポンと優しく撫ぜた



「だったら行こうぜ」

「どこに?」

「時間の砂があるところ」



サラサラと流れる時間の砂



「おまえ何歳になりたいんだ?」

「あんたと知り合った頃」

「考えることは同じだな。俺もおまえと知り合った頃に戻りてぇって願ったから」

「だから18?」

「ああ、結婚した時かなとも思ったんだけどよ」

そう言いながら砂の中に座れとジェスチャーをした

あたしは足元を確かめながら恐る恐る座った



「おまえと知り合えたから俺はいい人生を送れたし幸せだった。

それを考えたら、やっぱ18だろって思ってさ」

「あたしも同じ。あんたと知り合えたから幸せだったもん」




司が先にこっちに来る前、約束してくれたことを守ってくれた

「おまえが死んだら必ず迎えに来る」と。



最初に「迎えに来る」と約束してくれたのも17歳の時

ニューヨークに行く前

「4年後に必ず迎えに来ます」

その言葉通り、きっかり4年後に迎えに来てくれた



その1年後に結婚して

たくさんケンカもしたけど、それ以上にたくさん愛し合ってきた

10年前

司が先に病気でこっちに来るまで



あたしは10年間、司の言葉を信じて生きて来た

「先に行くだけだから。おまえのこと必ず待ってるから。俺はおまえだけを愛しているから」

そう言って旅立った司



司が傍にいない時間がとても長く感じられ、叶わないことと知りながら

「あたしも連れて行って」

と、言えばよかったと何度思ったかしれない



「さっき言いかけたの教えろよ」


サラサラと流れる時間の砂の中で

18歳の司と17歳のあたしは向かい合っていた


「何だったっけ?」

「覚悟していたけど、の続きだよ」

「もう抱きしめてもらえないと思ったら悲しかったの」



司は少年のように笑い、あたしをすっぽりと包み込むようにして抱きしめた

懐かしくて嬉しくて

何度も感触を確かめた



「ありがとう。迎えに来てくれて、待っててくれて」

「愛してる」



あたしも愛してる






end......




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この素敵SSがフリーと聞きつけて,
lsizerikaさん宅から強奪して参りました!!!
司と死別してしまった10年後,また天国で待ち合わせ。
なんてロマンチックなSSでしょう!
そう思えば,また会えると信じられるのならばゆっくり眠れるのかな。
だったら私も死ぬとき,そう信じて眠れるかな。
そうしたら,私も愛する人と手を繋いで
「時間の砂」のある場所へ歩いていきたいな。
「愛してる」って言ってあげたいな。

光の溢れるSSをありがとうございましたww
少佐の更なる昇格を祈りつつ(笑
これからも素敵なSS楽しみにしてますw




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