第二次イシュタル大戦を制作した事での私の私見。 by 圭
第二次イシュタル大戦は平成14年9月に第一章を公開し、平成16年6月に
最終章である第五章を公開してシリーズが終了しました。
第一章からの制作開始から約二年かかることになりまが、この長い制作期間を
通じて私が思ったことや感じたことを書こうと思います。
ネタバレにもなりますので、第二次イシュタル大戦をやってみてから
この私見を読んでください。
ちなみに、この私見はとても長いのでご注意を。
まず、私がこのシナリオを制作する上で、
参考になった漫画が二つあります。
一つは、ノーラコミックスという雑誌(今は廃刊になっています)に連載されていた
『ヴィナス戦記』という漫画です。
作者は有名な
安彦良和(やすひこよしかず)さんです。安彦さんと言えば、初代ガンダムの
アニメの絵を書いていたとても有名な作家ですね。
このヴィナス戦記は全四巻で、1990年に作品は終わりました。
詳しいストーリーは省きますが、人類が火星へ行き国家を築き繁栄しているのですが
火星のアフロディア国とイシュタル国の二国間で戦争が始まります。
戦車や戦闘バイクが入り乱れる、とても白熱する漫画です。戦略や戦術や、戦争での
人の感情などを非常に良く描いた作品だと思います。
もう一つはビックコミックという雑誌で連載されていた
『墨攻』という漫画です。
原作・酒見賢一、脚本・久保田千太郎、作画・森秀樹。
中国で秦の始皇帝が中国を統一しようと戦争が起こっている時代、『墨子』と呼ばれる集団の
一人の男を描いた物語です。力こそがすべて、という時代でどのように戦うか、戦争の
シビアさがよく描かれている作品です。
第二次イシュタル大戦をおもしろいと感じた人なら、この漫画もとても
楽しめると思います。戦記好きにはたまらない本です。
ちなみに、墨子とは、城などの守り専門の戦闘技術に長けた戦闘集団と言われています。
『孫子の兵法』は、相手を攻めるときの知識ですね。墨子とは守る事を中心としていますので
まったく逆のものと考えても良いのではないでしょうか。
秦の始皇帝が中国を統一してしまうと、この墨子は消えてしまったそうです。
私は、ヴィナス戦記を読んで、自分も何かこういう作品を作れたらいいな、と思いました。
で、CWシナリオで作ろうと思ったんですね。この時は本当に軽い気持ちで考えていました。
名前だってそのままイシュタル国って使っちゃうし……
(ちなみに、イシュタルとはバビロニア神話で金星の神や、愛、豊穣の神だそうです)
シナリオを作るには、まずストーリーが必要。第二次イシュタル大戦の中核であるデッド
ゾーンや第一次イシュタル大戦などは自分で考えました。いい加減に作ったと言えば
いい加減でしたが、今思うと結構良いストーリーかなと思います。
制作を始めてから約半年、第一章として出そうと思った物ができました。
しかし、問題が一つ。プレイ時間がメチャクチャ長かったのです。
3時間もかかってしまいました。3時間も。
こりゃ〜、いくらなんでもマズイ。せめて分割しなきゃ非難ゴウゴウだと思って
二つに分けたんですね。それが今の第一章と第二章なんです。
いろんな人からの反応はどうかな?と思ってみたら、意外と反応は良かったです。
長い、タルイなどの批判も来ましたが、おもしろいなどの感想も良く来ました。
特に、戦争のシビアな感じを描いているのが良かった、という感想が多かったです。
第二次イシュタル大戦第二章で、死体の処理をするシーンがありましたね。
これは『墨攻』の文庫版第一巻の最後の方にあるシーンを模倣しました。戦争は死者がたくさん出ますから
家族が死んでしまって悲しむというのは、よく考えてみれば当たり前の事です。
ですが映画や漫画でも、戦争の後の死体の処理をしているのはあまり見かけません。
まぁ、雰囲気が暗くブルーになるものですから、あまり演出したくないのかもしれませんね。
でも死体処理とか戦争の裏の部分を描けばインパクトも強くなるのではないかと思って
死体処理のシーンを入れることにしました。
自分でやってみても、良かったと思います。結構シビアな雰囲気を感じてくれたらうれしいですね。
まぁ、なんだかんだと第一章、第二章は制作が一段落つきました。
そして半年後の
平成15年4月、第二次イシュタル大戦第三章を公開しました。
やった人はすぐわかると思いますが、
力陰と
彩菜のキャラはあるゲームに出てくる
二人の主人公キャラクターを模倣しています。
株式会社アクワイア制作の、プレイステーションソフト
『立体忍者活劇・天誅』に出てくる
主人公キャラである男忍者の力丸と、女忍者の彩女です。
この二人のキャラクターの名前をチョコッと変えて、第三章では登場させました。
忍者ネタを使わなくても良かったのではないか?という意見もいくつか来ました。
確かに第三章のあの村に行くのは盗賊ギルドの紅髪やフィッテでも良かったのです。
ですが私は忍者や侍は好きですので、このシリーズの中でどこかに出そうと思っていたのです。
忍者は個人的にも好きなので、天誅のゲームを模倣して出すことにしました。
でも模倣したのはキャラクターだけで、第三章のストーリー内容などは私が
考えて作成しました。ですから、天誅のゲームを知らない人でも普通に遊ぶことが
できると思います。
この第三章を公開すると、おもしろかったというメールが多数来ました。
第一章、第二章を公開した時よりも来たと思います。
そこまで多くくるとは思わなかったので、私の方が驚かされました。
特におもしろいと言われた箇所があるのですが、それは第三章の前半にある
冒険者アーレンが犯罪者を無理矢理戦わせた事に対する意見の同意を求めてくる質問と、
馬車の中でルイザが、無実の三人も殺すのかどうか?という質問の分岐点です。
この質問がなかなかプレイヤーを惑わしたようです。
もしこの質問を真面目に考えてやってくれたとしたら、私はうれしく思います。
第三章は基本的にこの質問の答えを探すようなシナリオですからね。
第四章、第五章はバラバラに出しましたが、基本的には一つだと思っています。
イシュタルが占領される、イシュタルを奪還する。この二つは切ることはできません。
全体の流れが自分の中でだいたいできていましたので、制作をする上で苦労するような
事はあまりありませんでした。第四章に関しては、サクサク〜っと制作したように感じます。
ですが、一つどうしようかと悩んだ物があります。それは、第三章で登場したクリプトン国の
応援です。当初、クリプトン国の応援は出すつもりはありませんでした。
イシュタル国の残存兵と、リューン市の応援でイシュタルを奪還させようかとも考えたのですが
人数が少ないと感じてしまいました。身近な所に兵を補給できるネタは無いものかと
探してみると、クリプトン国が良いと思いました。
また、運が良いことにクリプトン国のロメッカ将軍が第三章では、イシュタル国に対してあまり
批判的な言葉を口にしていないことです。
これは使える!と思って、第三章ではロメッカ将軍を
『王様の命令で、しぶしぶイシュタル国を攻めに行った』という事にして
第四章では『王様の命令を無視してでも、正義を貫く』というキャラにしました。
するとまぁ、なんだかロメッカ将軍が格好良くなってしまいましたね。
自分でもちょっと驚きました。
第五章は、第二次イシュタル大戦で最終章となるので自分でもがんばって作ったつもりです。
音楽に関しては、良い物を選択したつもりです。特に、w0054.midですね。
これを聞いたときは『これだ!!』と思ったものです。
兵士がズラ〜ッと並んでこの音楽がかかる。そして誰かが志気を高める演説をしている。
あのシーンを作って自分で見てても格好いいと思ってしまいました。
イシュタル城への突入からエンディングまでも、そこまで問題は無く作成することができたと
思います。敵将カルーシアの画像は、
Zauber Burgというホームページを運営している
菅かるさんに作成を依頼しました。敵将以外にも道案内をしてくれた使用人や、
傷ついた兵士の画像など、多数の作成依頼をしました。非常に完成度が高く、しっかりと
作り込まれた画像をいただけたのでとてもうれしかったですね。
私は、敵将カルーシアの雰囲気は真面目っぽいオッサンでいいだろうと思っていたのですが、
『もっと格好いい敵将とかの方が良かった』なんて意見があったので驚いてしまいました。
私は敵将カルーシアは、本当に普通の、町中を歩いていそうな何の変哲もない
タダのオッサン、という雰囲気が一番似合っていると思ったのですが、もっと美形とか
普通の人間とはちょっとかけ離れた雰囲気の方が良かったと思う人もいたんですね。
確かに、モンスター軍を連れてイシュタルへ攻めてきた敵将ですし、いままで
シャドウで見えなくしてたから
『どんなすごい奴なんだ!?』と期待も高まって
しまったんでしょう。
う〜ん、制作者の私からすると、ちょっと能力のある普通の人間が、あんな生い立ちで
人類全体に恨みを持っただけ男、というのがカルーシアなんですね。
ここら辺が制作者とプレイヤーのギャップの差です。なかなか興味深い。
エンディングに関しては、前作である『ネコを探してください』と同じ曲を使い、
背景や文字の表示も同じにしました。エンディングの形としてはこれで良いと思っているので
変える気が無かったんです。
馬車のシーンでキャラクターが生きていたことでホッとしてくれたら、あのシーンは
大成功ですね。プレイヤーのみなさんはどうだったでしょうか?
ここで一つ
裏話をしましょう。
第五章の前半にある、兵士がナタリーを襲おうとするシーンがありますね。
これは上に書いた『ヴィナス戦記』の二巻の中盤に出てくるシーンの、ほぼそのまんまです。
兵士を殺した後、正規兵達と主人公達がもめるのも同じなんですよ。
違うのは、拳銃とボウガンくらいでしょうか。
本当はあそこまで同じにするつもりは無かったんです。襲われそうになるシーンは同じでも
後は違う感じへウンヌンと話を持っていこうと思ったのですが、第五章の序盤ではフォークスや
クローサー達の四人の冒険者とPCはまだ会っていない状態だったのです。なんとかして
この四人と会うきっかけを作ろうと思うのですが、偶然バッタリ会いました、てのはイヤでした。
それで結局は、兵士が襲おうとする所へクローサーが遭遇してしまい、後はみなさんご存じの通り
話が進んでしまったんです。そのまんまのパクリみたくなってしまいました。
あの将校さんの顔が二枚目美形のお兄さんにしたのは、我ながらいやらしい性格しているなと
思ってしまいました。
第五章もこんな感じで制作が終わり、第二次イシュタル大戦は終わりました。
本当に二年間もかかるとは、全然考えていませんでしたね。
カードワースという一つの物に二年間も打ち込むことができるとは
よほどカードワースと私の相性が良いのでしょうか。自分でも驚いています。
CWシナリオでも、各々がある程度の長さを持っている連作シナリオとなると
完結している物は結構少ないようですね。私がシナリオを完成させるまで
制作する気を失わなかったには、応援のメールが大きな理由だと思っています。
実際、二年間もパソコンの前に座って作業するわけですけれど、結構ツライです。
単純作業の繰り返しになってしまうわけですね。簡単に言うと、
飽きます。なまら飽きます。
それぞれのシーンを考えて、新しい物をどんどん制作していくのですが、それですら何度もやっていると
同じ事の繰り返しと感じてしまいます。そうなってくると、
『自分がカードワースを制作しているのか』、
『自分がカードワースに制作させられているのか』
どっちなんだかわかんなくなってくることもありました。
こういう時に、
「おもしろかったですよ」というメールが来るととてもうれしいのです。
「自分が作ったから、メールが来た」という事ですので、自分の自信へと繋がってきます。
そうすると、俄然やる気が沸いてくるんですね。
他のCWシナリオ制作者も同じように感じたことが多くあるのではないでしょうか。
応援のメールや、シナリオを評価するサイトは制作者にとって大切な物だと思います。
もしみなさんも、おもしろいシナリオだったと感じたり、この作者に何か一言、言いたいぞと
感じたら、掲示板に書いたりメールを送ったりしてみてください。
制作者は自分のシナリオに対する反応を楽しみにしているものですからね。
私が第二次イシュタル大戦を作る流れはこのようなものです。
読んでて楽しんでもらえたかは謎ですが、多数いるCWシナリオ制作者の参考に少しでもなれば幸いですね。
シナリオ制作は楽しいですし、何より自分が作った物の返事が来るのはとてもうれしいです。
みなさんも、機会があったらシナリオを制作してみてはいかがでしょうか?
それではでは。
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